舞台『令和X年のオセロー』

戯曲組第5回公演

「令和X年のオセロー」
~予め死んでいる女たち、あるいはデズデモーナマシーン~

《公演日時》
2022年9月3日 13時/17時 開演
30分前開場
(いずれも予定)

《場所》
吉祥寺シアター

《料金》
劇場観劇 5000 円
ライブ配信 及び アーカイブ(7日間)配信 2500円
(7月30日12時よりチケット発売)
▼劇場チケット購入URL▼
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《概要》
シェイクスピアの四大悲劇の一つとして有名な「オセロー」を、ジェンダーギャップの観点から翻案し、またそれを身体によって表現する舞台である。

《メディア掲載情報》

【出演】
バーバラ
 有森也実
(有限会社トムボーイ)

男 1、オセローと名乗る
西本泰輔

男2、イアーゴーと名乗る
白木原一仁
(プロデュースユニットななめ 45°)

男3、キャシオーと名乗る
鈴木一希
(劇団東京乾電池)

男4、ロダリーゴーと名乗る
佐々井隆文

女1、デズデモーナと名乗る
吉村元希

女2、エミリアと名乗る
中山侑子

女3
三木万侑加

女4
清水さと

女5
石井理加

女6
吉田昌美
(夢工房)

女神
田中玲

ブラバンショーの声
渡辺哲
(株式会社アウルム)

【スタッフ】
《作・演出》吉村元希 
《ポワント振付》有森也実(有限会社トムボーイ)
《群舞振付》大園康司
《照明》松本永(eimatsumoto Co.Ltd.)
《音響》大園康司
《ドラマトゥルグ》中山侑子
《歌唱指導》外山奈津美
《広報》石井理加 
《制作》秋津ねを(ねをぱぁく)、真鍋万喜、北川啓太、岩田牧子 
《宣伝美術》勝山修平(彗星マジック)
《宣伝写真》宍戸ともこ
《美術》橋本慶之
《舞台監督》森下紀彦
《配信》川上ルイベ
《衣装協力》吉村元希
《主催》虎耀組

《プロデュース協力》石塚慶生

《テーマ》今年「令和 X 年のオセロー」では、デズデモーナがトゥシューズを履く。 本作ではトゥシューズは ”女性はこうあるべきと定められた美しさ”を象徴するものとする。その伝統的な美しさに憧れながらも、社会の構造によって与えられたジェンダーロールに苦しむ女性は多い。 まずは一度、その靴を脱いでみませんか?という提案、つまり違う生き方も出来るのではないかと言う可能性を提示したい。 女性の問題は男性の生きづらさにも繋がっている。 家父長制の頃、家長が稼ぎ、家族を養っていた。 しかし、現代日本の経済状況は一部の人々にしかそれは許されない。 現代の男性も背負いすぎているものがあるように思う。

そして、過去のストーリーにおいて、ともするとありがちな”女性が美しく死ぬことでの”悲劇性”によるドラマの形成を批判的に考える。

昨年の「令和 X 年のハムレットという作品においても、今までワタシたちが慣れ親しんできた物語をハムレットの台本になぞらえ、男性主体にしか語られなかったストーリーを捨て去ることで、女性の新しい生き方を見つけられるというテーマを描きつつ、「オフィーリアは何故死ななければならなかったのか」を問うた。

本年もまた、女性〈デズデモーナ〉が美しく悲しく死ぬことによる原作「オセロー」のエンディングに現代的な解釈を施し、今現代の行き詰まる世情をどう生き抜くかについての提案としたい。

今回、ジェンダー問題だけでなく、もう一つ重要なテーマがある。それは「人は何故踊るのか」 江戸時代末期に「ええじゃないか騒動」という、民衆が街を熱狂的に踊り練り歩くという歴史的な騒動があった。 そのときの当時の時代背景を考えると、おそらく民衆に鬱屈した思いがあり、その鬱屈が大きなエネルギーとなって爆発しただろうと思われる。コロナ禍もさることながら様々な世界的出来事に心が暗くなる日々が続く、この現代にも通じるものがあるだろう。

《隠れたサブテーマ》原作「オセロー」では、ムーア人という民族性の違う人物に対してのレイシズム、また、 明朗快活である女性が浮気の疑いを掛けられるというセクシズムの問題を扱っているが、 本作「令和 X 年のオセロー」では、上演時 60 歳を迎える吉村元希がデズデモーナを演じることによって、三大差別(レイシズム、セクシズム、エイジズム)の全てを乗り越えることを試みる。

来年日本の人口のうち50歳以上の女性が50%を超えるという。(国立社会保障・人口 問題研究所による新たな全国人口推計より)

反面、50 歳以上の女優は母親役や孤独で寂しい女性、50歳以下である場合は性的な存在として描かれることが多いとも言う。

吉村元希本人が、これから50歳以上の女性が活躍する台本を執筆していきたいと考えてはいるが、古典戯曲など過去の作品の数と比べると、生きているうちに書き残せる数には限界がある。ならば、今までの戯曲で通常”若い女性”が演じる役も、50 歳以上の女性が演じていくべきなのではないかと考えた。 

中年以降の女性俳優は、皆、わざと老け込んだり、白髪にしたりすることで配役される機会が増えると聞く。実際の年齢では配役されないのである。50 歳の人は 50 歳の役を配役されない。50代の女性の役に、実際には 60代以上の方が配役されることが多いように思う。女性たちは世間一般の「お婆さん」のイメージに寄っていかなければならないのか。こうした現実と創作作品上の虚構との乖離をそのままにしておいて良いのか。ハムレットは高齢男性が演じることがあるが、オフィーリアはどうか。「そんなバカな」と思うところに、マイクロアグレッションがある。 まだ可視化されていない小さな差別の数々。見えない物を見えるようにしていきたい。

《新たなプロジェクトの在り方を提示》ディバイシングという方法を試みようとしたが、戯曲組では戯曲ありきの公演が主なので、ゼロから作っていくディバイシングの方法はそのままはあてはまらないと判断したが、できうる限り参加者全てが積極的に創作に参加できるチーム作りを目指していく。 

1人の作演出は、稽古場、スタッフ・キャストの心身の健康、安全管理、より質の高いクオリティを目指すべく、責任を取るためにいるのであり、絶対的な権利を振りかざすものではない。また参加者(スタッフ・キャスト)も、自立した人格を以て、能動的、かつ、行動に責任を持って参加、各人お互いに敬意を持って接するものと考える。


《戯曲組》等身大の人間対人間のコミュニケーションや表現について提案する演劇的藝術創作ユニット。
テキストを声に出して読むことによってわき起こる演者の身体反応に注目する。 最近では、ルコックシステム、韓国式俳優向け身体トレーニング、ソマティクスなどを導入。また、演劇をプロダクトする際の、組織の在り方、新しい構造を模索しており、ディバイシングの方法論を取り入れ、1 人のカリスマによって全てが決定されるヒエラルキー的なつながりではない、ティール組織を目指している。 

主催・虎耀組

gi.kyoku.gumi.2019@gmail.com